事務作業は企業運営に欠かせない業務ですが、効率化の余地が多く残されている分野でもあります。
書類の整理、データ入力、申請処理など、日々の事務作業に追われて本来注力すべき業務に時間を割けないという悩みを抱えている方も多く、実際弊社にもそのような課題に対するご相談を多くいただいています。
本記事では、事務作業を効率化する方法を網羅的に解説し、パソコンスキルの向上や作業環境の整備といった基本的な改善から、RPAやAIツールを活用した最新の効率化手法まで、すぐに実践できる7つの方法をご紹介。
さらに、効率化を成功させるための具体的なステップや、導入しやすい効率化ツールについても詳しく説明していきます。
是非ご参考ください。
タイプ別の事務効率化方法
事務作業は部門によって特徴が異なるため、それぞれに適した効率化のアプローチが必要です。
以下の表では、主要な事務部門における効率化方法をまとめました。各部門の詳細な効率化手法については、リンク先の記事で詳しく解説しています。
部門 | 主な効率化ポイント | 詳細記事へのリンク |
営業事務 | 顧客データの一元管理、見積書・請求書の自動作成、スケジュール管理の効率化 | 営業事務の効率化方法7選!生成AIの活用法や便利なツールも紹介 |
医療事務 | レセプト作成の自動化、予約管理システムの導入、電子カルテとの連携 | 医療事務の効率化・業務改善!おすすめの方法7選と着手の優先順位を紹介 |
経理 | 仕訳の自動化、経費精算システムの活用、請求書の電子化 | 経理業務を効率化する方法7選!生成AIを使った手法や着手すべきケース |
総務 | 備品管理のデジタル化、社内申請のワークフロー化、FAQの整備 | 総務の業務効率化方法10選!生成AIの活用法や成功のコツも紹介 |
各部門に共通する効率化の基本は、反復作業の自動化と情報の一元管理です。
部門特有の業務内容を理解したうえで、適切なツールや手法を選択することが重要となります。
次章では、どの部門でも活用できる事務効率化の具体的な方法について解説していきます。
事務を効率化する方法・アイデア7選
事務作業の効率化には様々な方法があります。ここでは、すぐに実践できる効果的な方法を以下7つ紹介します。
- PCスキルを上げる
- 作業環境・データを整備する
- 申請フローを電子化する
- 文書をテンプレート化する
- マニュアルを整備して品質を均一化する
- 定型業務はRPAで自動化する
- 専門外業務は外注する
PCスキルを上げる
日常的に使用するPCのスキルを向上させるだけで、驚くほど作業効率が上がります。
エクセルやワードや、Windows自体ののショートカットキーを覚えるだけで、作業時間を大幅に短縮できます。
特に以下のスキルの習得がおすすめです。
- 「Ctrl+C」「Ctrl+V」といった基本的なコピー&ペースト
- 「Ctrl+Shift+↓」(セル範囲の選択)
- 「Alt+Tab」(ウィンドウの切り替え)
- 「Windows+D」(デスクトップの表示)
社内研修でこれらのスキルを共有したり、チーム内で便利なショートカットを共有する習慣をつけると、組織全体の効率化につながります。
無理に全てを覚える必要はなく、日常業務でよく使う操作から少しずつ覚えていくのがコツです。
作業環境・データを整備する
ダブルモニターにするなど、作業環境を整備するのは劇的に作業効率が上がる
逆に、ノートPCで作業をしているのは要注意。効率も低く、姿勢が悪いため健康被害→総合的に効率が下がる
データについても目的のファイルにたどり着きやすくなるよう、フォルダの階層化をきれいに整えて、ファイルを配置するルールを決める
効率的な作業には適切な環境が不可欠です。
周辺の作業環境とデータ環境の両面から整備しましょう。
作業環境の整備では、デュアルモニター(2画面)の導入が特に効果的です。
異なる資料を見比べながらの作業や、複数のソフトを同時に使う作業が劇的に楽になります。
初期投資は必要ですが、長期的に見れば作業時間の短縮によって十分元が取れるでしょう。
ノートPCだけで作業を続けることは画面が小さいため作業効率が落ちるだけでなく、姿勢が悪くなりがちで健康被害を招く恐れもあります。
長時間の作業には外部モニターの接続をおすすめします。
また、データ環境の整備も同様に重要です。
フォルダ構造を明確に階層化し、ファイルの命名ルールを統一することで、必要なデータにすぐにアクセスできるようになります。
例えば、プロジェクト名+日付+内容といった命名規則を決めておくと、検索性が格段に向上します。
また、定期的にデータの整理時間を設けることも効果的です。
週に一度、不要なファイルを削除したり、適切なフォルダに移動させる習慣をつけると、データが肥大化することを防げます。
申請フローを電子化する
紙の申請書や押印が必要な承認フローは、時間とコストの無駄になりがちです。
申請フローを電子化することで、以下のようなメリットが得られます。
- 申請から承認までの時間が大幅に短縮される
- 申請状況の可視化が実現するため、無駄な問い合わせが減少する
- データの入力ミスや記入漏れも防止できる
電子化には専用のワークフローシステムを導入する方法もありますが、初期段階ではGoogleフォームやMicrosoft Formsなどの無料ツールを活用するのもひとつの手段です。
重要なのは、組織の規模や業務内容に合ったシステムを選ぶことです。
文書をテンプレート化する
定型的な文書作成は、テンプレート化によって大幅な時間短縮が可能です。
報告書、議事録、提案書など、繰り返し作成する文書のフォーマットを統一しておくことで、文書作成の手間を最小限に抑えられます。
また、テンプレート化のメリットは時間短縮だけではなく、文書の品質も均一化され、必要な情報の漏れを防止できます。
また、新入社員や異動してきた社員でも、テンプレートに沿って作成すれば一定水準の文書が作成できるため、教育コストの削減にもつながります。
効果的なテンプレートを作成するコツは以下の通りです。
- 必須項目を明確にする(日付、作成者、目的など)
- 記入例や注釈を入れておく
- デザインを統一し、見やすさを重視する
- 共有フォルダに保存し、誰でもアクセスできるようにする
テンプレートは一度作成したら終わりではなく、定期的に見直して改善することが大切です。
実際に使用した感想や改善点を収集し、より使いやすいものに進化させていきましょう。
マニュアルを整備して品質を均一化する
業務マニュアルの整備は、作業品質の均一化と効率化の両方に効果的です。
特に以下のようなメリットがあります。
- 担当者による品質のばらつきがなくなるため、顧客満足度の安定にもつながる
- 業務の属人化を防止できる
- 新人教育の効率化も実現可能
効果的なマニュアル作成のポイントは以下の通りです。
- 専門用語は避け、初心者でも理解できる言葉で説明する
- 文章だけでなく、画像や図表を活用して視覚的に理解しやすくする
- 手順は具体的に、番号付きで記載する
- 想定されるトラブルと対処法も記載しておく
マニュアルは定期的に更新することも重要です。
システムの変更や業務フローの改善があった場合は、すぐにマニュアルに反映させる習慣をつけましょう。
定型業務はRPAで自動化する
RPA(Robotic Process Automation)は、定型的な業務を自動化するツールです。
人間がPC上で行う作業を「ロボット」に覚えさせることで、以下のような効果が期待できます。
- 作業時間の大幅な削減が可能になり、メイン業務や戦略立案に時間を使える
- ヒューマンエラーの防止になる。
- 同じ品質で正確に作業を続けられる
RPAが特に効果的な業務例は下記が挙げられます。
- 複数システム間のデータ転記
- 定期的なレポート作成
- 大量データの集計・加工
- Webサイトからの情報収集
RPAの導入には初期コストがかかりますが、導入効果の高い業務から段階的に始めることで、投資対効果を最大化できます。
また、最近では低コストで始められるクラウド型RPAサービスも増えているため、小規模な組織でも取り入れやすくなっています。
専門外業務は外注する
本業に集中するために、専門外の業務は積極的に外部委託(アウトソーシング)することも検討しましょう。
外注することで以下のようなメリットがあります。
- 社内リソースを本業に集中させられる
- 専門家に任せることで品質向上が期待できる
- 固定費の変動費化により必要な分だけ費用を発生させられ、コスト管理がしやすい
外注を検討すべき代表的な業務は下記があります。
- 経理・会計処理
- 給与計算・社会保険手続き
- IT・システム管理
- 翻訳・デザイン制作
- データ入力・資料作成
外注する際は、自社の強みとなる重要な業務は社内に残し、それ以外の業務を外部委託するという視点で検討することが重要です。
また、複数の業者を比較検討し、自社の規模や文化に合った外注先を選ぶことも成功のポイントとなります。
生成AIを使って事務を効率化する方法
近年急速に発展している生成AIは、事務作業の効率化にも大きな可能性を秘めています。
人間が行っていた単純作業や時間のかかる作業をAIに任せることで、より創造的な業務に時間を使えるようになります。
ここでは、具体的に生成AIを活用した事務効率化の方法を3つ紹介します。
- メールの文面はAIに下書きを書いてもらう
- 議事録は自動で文字起こしする
- 長い文書はAIで要約する
メールの文面はAIに下書きを書いてもらう
日々のメール対応に時間は、以外に作業時間を取られる業務の一つですが、生成AIを活用すれば、メール作成の負担を大幅に軽減できます。
生成AIにメールの下書きを作成してもらう主なメリットは以下の通りです。
- 定型的なメール対応の時間短縮が可能になり、他の重要な業務に時間が充てられる
- 文章作成が苦手でも適切な文面を作成できる
- 自分の文章表現の幅を広げられる
ただし、AIを使用する際は以下の注意が必要です。
- AIが生成した文章はあくまで「下書き」として捉え、必ず内容を確認・修正する
- 日本語の微妙なニュアンスや相手との関係性に配慮した調整は人間が行う
- 機密情報を含むメールの作成依頼は避ける
現状では、AIだけで完璧なメールを作成するのは難しいですが、人間とAIが協力することで、効率的かつ質の高いメールコミュニケーションが実現できます。
議事録は自動で文字起こしする
会議の議事録作成は、多くの時間と労力を要する作業ですが、AI議事録自動作成ツールを活用することで、この負担を大幅に軽減できます。
AI議事録自動作成ツールとは、会議の音声を自動的にテキスト化し、議事録として整理してくれるツールです。
最新のAI技術を活用しており、日常会話であれば8〜9割程度の精度で文字起こしが可能になっています。
このツールの主なメリットは以下の通りです。
- 議事録作成の時間と労力の大幅削減
- 会議に集中できる(メモを取る必要がない)
- 発言者ごとの発言内容を正確に記録
- クラウド上での共有・編集が容易
- 重要なキーワードやタスクの自動抽出
特に、会議中にメモを取る必要がなくなるため、参加者全員が議論に集中できるようになるのは大きなメリットです。
また、「誰が何を言ったか」を正確に記録できるため、後から確認する際も便利です。
議事録自動作成ツールの導入を検討する際は、以下の機能が備わっているツールがおすすめです。
- 複数人の発言を区別して記録できる機能
- 重要キーワードの自動タグ付け
- 議事録の自動要約機能
- クラウド保存と共有機能
- 編集・修正が簡単にできるインターフェース
ただし、専門用語や固有名詞の認識精度には限界があるため、重要な会議では内容の確認と修正を忘れないようにしましょう。
長い文書はAIで要約する
長い報告書や議事録、論文などを短時間で理解するのは簡単ではありませんが、生成AIの要約機能を活用することで膨大な情報から重要なポイントを素早く抽出できます。
AIによる文書要約のメリットは以下の通りです。
- 情報把握の時間短縮(長文を短時間で理解)
- 重要ポイントの明確化
- 多数の資料を効率的に処理
- 会議準備や報告書作成の効率化
特に議事録と組み合わせると効果的です。
AI議事録自動作成ツールで作成した詳細な議事録を、さらにAIで要約することで、「何が話し合われ、どのような結論に至ったか」を簡潔に把握できます。
AIを活用した文書要約では、以下のポイントに注意するとより効果的です。
- 要約の目的や必要な詳細度を明確に指示する
- 重要なキーワードや注目すべき点を事前に指定する
- 自動要約の結果は必ず人間がチェックする
- 複数の要約結果を比較して精度を高める
また、AIは文脈や背景知識を完全に理解しているわけではないため、特に重要な意思決定には、要約結果だけでなく原文も確認することをおすすめします。
AIによる要約は、日々増え続ける情報の中から必要なエッセンスを素早く抽出するための強力なツールです。
適切に活用することで、情報処理の効率を大幅に向上させることができるでしょう。
事務の効率化を進める手順
事務効率化はを実現するには、体系的なアプローチで進めることが必要です。
適切にアプローチすることで、着実に成果を上げることができます。
ここでは、効率化を成功させるための3つのステップを紹介します。
1. 業務を洗い出し時間を測る
効率化の第一歩は、現状の業務内容を正確に把握することです。
まずは以下の観点から業務の洗い出しを行いましょう。
- 業務内容(具体的な作業の内容)
- 作業時間(1回あたりの所要時間)
- 発生頻度(日次/週次/月次など)
- 担当者(誰が行っているか)
- 必要なスキルレベル(初級/中級/上級)
- 関連業務(前後の工程や依存関係)
業務の棚卸しでは、できるだけ詳細に作業を書き出すことが重要です。
特に作業時間は感覚ではなく、実際に計測することが大切です。
「この作業は約15分」と思っていたものが、実際に測ると30分かかっていたというケースは珍しくありません。スマートフォンのタイマー機能やタイムトラッキングアプリを活用して、正確な時間を記録しましょう。
業務の洗い出しには、エクセルシートを活用すると便利です。
「業務一覧表」を作成し、部門全体の業務を可視化することで、全体像が把握しやすくなります。
また、複数メンバーで作業することで、見落としを防ぐことができます。
2. ボトルネックを特定する
業務の洗い出しが完了したら、次はボトルネック(効率化のネック)となっている業務を特定します。
以下のような観点からチェックしていきましょう。
- 時間がかかりすぎている業務を洗い出す。
- 重複している作業はないか確認する
- 手作業で行っている単純作業をチェックする。
ボトルネック特定のポイントは、「ムリ・ムダ・ムラ」の視点です。
- ムリ:能力や時間に対して過度な負荷がかかっている作業
- ムダ:付加価値を生まない、または必要以上の作業
- ムラ:業務量や品質にばらつきがある作業
これらの視点から業務を見直すことで、効率化すべきポイントが明確になります。
3. 改善策を実施し効果を測定する
ボトルネックが特定できたら、いよいよ改善策を実施します。
改善策の実施と効果測定は、「改善計画書の作成→改善策→効果測定」の手順で進めましょう。
改善計画書には以下の項目を盛り込みます。
- 改善対象の業務と現状の課題
- 具体的な改善方法
- 期待される効果(時間短縮、コスト削減など)
- 実施スケジュール
- 必要な費用やリソース
- 効果測定の方法
次の改善策実施では一気にすべてを変えるのではなく、小さな変更から始めることをおすすめします。
特に費用をかけずにできる改善からスタートすると、早期に効果を実感できます。
具体的な改善策の例としては以下があります。
- 不要な作業や承認プロセスの廃止
- 作業手順の最適化(順序の変更など)
- テンプレートやマニュアルの整備
- ツールやシステムの導入
- 業務の外部委託
改善策を実施後に必ず効果測定を行います。
改善前と同じ方法で作業時間を測定し、どれだけ効率化されたかを数値で確認します。
また、定性的な効果(ストレス減少、ミス防止など)も記録しておくと良いでしょう。
効果測定の結果、期待した効果が得られなかった場合は、原因を分析して改善策を見直します。
PDCAサイクル(計画→実行→評価→改善)を回しながら、継続的に効率化を進めていくことが大切です。
改善活動は一度で終わりではありません。
定期的に(例えば半年に1回)業務の棚卸しと効率化の検討を行うことで、常に最適な状態を維持できます。
また、現場の意見を積極的に取り入れることも重要です。実際に業務を行っている人の声は、効率化のための貴重なヒントとなります。
事務の効率化を成功させるコツ3つ
効率化の取り組みを実践している企業は多いものの、思うような成果が得られないケースも少なくありません。
ここでは、事務効率化を確実に成功させるための3つのコツを紹介します。
数値目標を先に決めておく
効率化の取り組みを始める前に、具体的な数値目標を設定しておくことが重要です。
「業務効率を上げる」という抽象的な目標ではなく、「〇〇の業務時間を20%削減する」といった具体的な数値目標を設定しましょう。
数値目標を設定するメリットは以下の通りです。
- 取り組みの方向性が明確になる
- 進捗状況を客観的に評価できる
- チーム全体で共通認識を持てる
- 達成感を得やすく、モチベーション維持につながる
数値目標を設定する際は、現状の正確な把握が前提となります。
例えば、「現在30分かかっている申請処理を20分以内に短縮する」という目標を立てるには、まず現在の処理時間を正確に測定する必要があります。
また、目標は「SMART」の原則に従って設定すると効果的です。
- Specific(具体的):何をどうするかが明確
- Measurable(測定可能):数値で進捗を確認できる
- Achievable(達成可能):現実的に達成できる範囲
- Relevant(関連性):会社や部門の目標と合致している
- Time-bound(期限あり):いつまでに達成するかが決まっている
例えば、「今年度末までに月次報告書の作成時間を現在の15時間から10時間に削減する」という目標は、SMARTの全ての要素を満たしています。
目標設定後は、定期的に進捗を確認する仕組みを作りましょう。
月次や四半期ごとに実績を測定し、目標との乖離があれば早めに対策を講じることが大切です。
小さく始めて、改善していく
大規模な改革を一度に行おうとすると、現場の混乱や抵抗を招きやすくなります。
まずは小さな改善から始め、徐々に範囲を広げていく「スモールステップ」のアプローチが効果的です。
小さく始めるメリットは以下の通りです。
- 失敗のリスクとコストを最小限に抑えられる
- 成功体験を早期に積むことができる
- 現場の抵抗感を軽減できる
- 改善点を見つけやすく、軌道修正が容易
例えば、全社的なシステム導入を検討している場合、まずは一つの部署や少人数のチームでパイロット運用を行い、問題点を洗い出してから展開するとスムーズです。
また、「カイゼン」の考え方を取り入れ、日々の小さな改善を積み重ねる文化を作ることも大切です。
一人ひとりが「この作業はもっと効率化できないか」と考える習慣があれば、組織全体の効率は着実に向上していきます。
改善のステップとしては、以下のような進め方がおすすめです。
- まず簡単に改善できる「低hanging fruits(手の届きやすい果実)」から始める
- 成功事例を組織内で共有し、横展開する
- 得られた知見をもとに、次の改善テーマに取り組む
- 徐々に規模や難易度を上げていく
このアプローチでは、最初の成果が重要です。
小さくても目に見える成果を出すことで、「効率化は可能だ」という実感と自信が生まれ、次のステップへの原動力となります。
全員が使える仕組みに落とし込む
いくら優れた効率化の仕組みでも、一部の人しか使えなければ意味がありません。
組織全体の効率を上げるには、全員が使いこなせる仕組みづくりが不可欠です。
全員が使える仕組みにするためのポイントは以下の通りです。
- シンプルで分かりやすい設計
- 十分な教育・研修の実施
- マニュアルやヘルプの充実
- サポート体制の整備
- 現場の声を反映した改善の継続
特に、ITツールを導入する場合は、PCスキルに差がある点に配慮が必要です。
直感的に操作できるインターフェースや、エラーが起きにくい設計を心がけましょう。
また、新しい仕組みを導入する際は、「なぜこの変更が必要なのか」という背景や目的を丁寧に説明することが重要です。
変更の意義を理解できれば、抵抗感は大幅に軽減されます。
さらに、仕組みを継続的に使ってもらうための工夫も必要です。
例えば、以下のような取り組みが効果的です。
- 定期的なフォローアップ研修の実施
- 活用事例の共有会
- ヘビーユーザーによるサポート体制
- 改善提案の積極的な採用
仕組みの定着には時間がかかります。
すぐに効果が出なくても焦らず、粘り強くサポートを続けることが大切です。
事務の効率化に便利なサービス
事務効率化を実現するためには、適切なツールやサービスの活用が欠かせません。
ここでは、特に効果的な3つのサービスについて紹介します。
ビジネスチャット
社内コミュニケーションをメールで行っていると、情報の整理や検索に時間がかかり、効率が低下します。
ビジネスチャットツールを導入することで、以下のようなメリットが得られます。
- コミュニケーションの即時性が高まる
- 既読機能があるため、相手が確認したかどうかが一目で分かる
- テーマごとにチャンネルを作成することで情報の整理がしやすくなる
- ファイル共有が簡単
特に効果的なのは、社内外の連絡が混ざりやすいメール環境が改善できる点です。
メールでは取引先とのやり取りと社内連絡が同じインボックスに入るため、重要なメールを見逃すリスクがあります。
ビジネスチャットを社内連絡用、メールを社外連絡用と役割分担することで、コミュニケーションの効率が格段に向上します。
導入を検討する際は、以下のような機能があるツールがおすすめです。
- グループチャット機能
- ファイル共有機能
- 検索機能
- 通知設定のカスタマイズ
- 外部ツールとの連携機能
ただし、導入当初は使い方に慣れない社員もいるため、簡単なマニュアルを作成したり、使い方の研修を行ったりすることが大切です。
労務・経理・法務系のSaaS
紙や Excel による申請・承認フローや経理処理は、手間とミスが発生しやすい業務です。
SaaS(Software as a Service)型の申請・経理システムを導入することで、大幅な効率化が期待できます。
SaaS型の申請・経理システムを導入することで期待できる効率化はは以下があります。
- 申請・承認フローの電子化により、書類の紛失や承認の遅延が防止できる
- 経理処理の自動化が可能
- データの一元管理によって分析が容易になる
申請・経理系SaaSの主なメリットは以下の通りです。
- ペーパーレス化による保管スペースとコストの削減
- 承認スピードの向上によるビジネスの加速
- 手作業の削減によるミス防止
- リモートワーク環境下でも円滑な業務遂行
- データの可視化による経営判断の精度向上
導入を検討する際は、自社の業務フローに合わせたカスタマイズが可能か、他のシステムとの連携ができるか、セキュリティ対策は十分かなどをチェックすることが重要です。
BPO
繁忙期に業務が増えて忙しくなる、というケースにはその時だけ対応すれば良いので、BPOがおすすめ
BPO(Business Process Outsourcing)は、業務プロセスの一部または全部を外部の専門企業に委託するサービスです。
特に繁忙期に業務が集中する場合や、専門性の高い作業を効率よく処理したい場合に有効です。
BPOの最大のメリットは、業務量の変動に柔軟に対応できる点です。
例えば、月末や年度末など特定の時期だけ業務量が増加する場合、その時期だけ外部リソースを活用できるため、社内リソースを常に最大負荷に合わせて確保する必要がなくなります。
また、専門性の高い業務を委託することで、品質向上も期待できます。
BPO企業は特定の業務に特化しているため、効率的かつ高品質な処理が可能です。
例えば、給与計算や社会保険手続きなどの専門知識が必要な業務を委託することで、ミスの削減と法令遵守の徹底が図れます。
さらに、コア業務への集中が可能になります。
定型的な事務作業をBPOに委託することで、社内スタッフは企業の競争力を高める戦略的な業務に注力できるようになります。これにより、組織全体の生産性向上につながります。
BPOは、すべての業務を委託するのではなく、自社の状況に合わせて適切な業務だけを委託することが成功の鍵です。
まずは小規模な業務から始め、効果を確認しながら範囲を広げていくアプローチがおすすめです。
事務の効率化に着手すべきケース
事務効率化は多くの企業にとって重要な課題ですが、特に以下のような状況が見られる場合は、早急に対策を講じる必要があります。
自社の状況を客観的に判断し、効率化に着手すべきタイミングを見極めましょう。
残業時間が増え続けている
残業時間の増加は、事務効率化が必要なサインの一つです。
以下のような状況が発生している場合は、効率化を検討するタイミングかもしれません。
- 慢性的な長時間労働が常態化している
- 定型業務や単純作業に多くの時間を費やしている
- 「忙しいのは当たり前」という組織文化が根付いている
- 業務量は変わっていないのに残業が増え効率が低下している
また残業時間の増加は、単に労働時間の問題だけでなく、以下のような様々な問題につながります。
- 従業員の健康問題とメンタルヘルスの悪化
- 集中力の低下によるミスの増加
- 離職率の上昇とそれに伴う人材確保の困難
- 割増賃金の増加によるコスト増
これらの問題が顕在化する前に、業務の棚卸しと効率化に着手することが重要です。
まずは残業が多い部署や業務を特定し、その原因を分析しましょう。
そのうえで、自動化できる業務、標準化すべき業務、外部委託すべき業務を明確にし、適切な対策を講じていくことが効果的です。
手作業によるミスが多い
ヒューマンエラーが頻発している場合は、効率化によるプロセス改善が急務です。
以下のような状況は、効率化が必要なサインです。
- データ入力や転記作業でのミスが目立つ
- 確認作業が不十分なためにエラーが見逃される
- 業務手順が標準化されておらず個人の裁量が大きい
手作業によるミスが多い状況は、以下のような深刻な問題につながる可能性があります。
- 顧客満足度の低下や信頼の喪失
- ミスの修正による二重作業と時間のロス
- コンプライアンス違反のリスク
- 従業員のモチベーション低下
こうした問題を防ぐために、まずはミスが発生しやすい業務プロセスを特定し、その原因を分析しましょう。
単純な注意不足なのか、業務量の多さが原因なのか、手順の複雑さが問題なのかを見極め、適切な対策を講じることが大切です。
時期により業務量に差がある
業務量の波が大きい場合、ピーク時の対応に苦慮する企業は少なくありません。
以下のような状況は、効率化が必要なサインです。
- 月末月初や四半期末、年度末など特定の時期に業務が集中し、その時期だけ大幅な残業が発生する
- 繁忙期と閑散期の差が大きく人員配置に悩むケースが多い
- 突発的な業務増加に対応できず、業務追われる
時期による業務量の差が大きい状況は、以下のような問題を引き起こします。
- 繁忙期の過重労働と閑散期の非効率
- 品質のばらつきや納期遅延
- コスト管理の困難さ
- 人材確保や育成の難しさ
こうした問題に対処するためには、まず業務量の変動パターンを分析し、予測可能な波であれば事前準備や業務の分散化を図ることが大切です。
例えば、閑散期に事前準備を進めたり、繁忙期に集中しがちな作業の一部を閑散期に前倒しで実施したりすることで、業務の平準化が可能です。
あらゆる事務を丸ごと頼める「ちょいサポ」
300件以上の事業推進実績を誇るフリーランスタックスが運営する「ちょいサポ」は、月額2.5万円から利用できる、マーケティング・人事・営業・クリエイティブ・庶務業務といった幅広いバックオフィス業務のサポートサービスです。
「事務の業務を効率化したい」「細かい業務を依頼したい」といったニーズに対応し、月10時間・1ヶ月から柔軟にサポートが可能です。
「ちょいサポ」のサービス開始以来、「業務負担を減らしたい」「効率化が進まない」といった課題を抱える多くの企業様からご相談やご依頼をいただいています。
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