日々の庶務や事務作業を担う総務部門。
会社全体を支える「縁の下の力持ち」とも言える存在ですが、業務の幅が広く、ルーティンワークも多いため、効率化が難しいと感じている企業も多いのではないでしょうか。
特に近年は人手不足や働き方改革、デジタル化の流れを受け、限られた人員で多くの業務をこなす必要性が高まっています。
そんな中で注目されているのが、「業務の効率化」と「生成AIなどの最新ツール活用」です。
この記事では、総務部門の業務効率を大幅に改善できる方法を10選わかりやすく解説し、生成AIの活用法や成功のコツも紹介しています。
総務を効率化する方法10選
まず、総務業務を効率化する方法を10選お伝えします。
以下のような施策を取り入れることで、総務業務の負担軽減や属人化の防止、全体の生産性向上が期待できます。
ノンコア業務はBPOで外注する
総務業務には、企業の運営に欠かせない「コア業務」と、日常的な処理や定型作業といった「ノンコア業務」があります。
このうちノンコア業務は、外部に委託(アウトソーシング)することで、業務全体の効率化に大きく貢献します。
たとえば、以下のようなノンコア業務はBPO(ビジネス・プロセス・アウトソーシング)の代表例です。
- 備品管理や発注
- 書類のファイリングやデータ入力
- 社員からの問い合わせ対応
- 勤怠・経費のチェック業務
こうした業務を外注することで、次のようなメリットが得られます。
- 社内リソースをコア業務に集中できる
- 専門ノウハウを持った人材によって業務品質が安定
- 繁忙期・閑散期の変動に柔軟に対応できる
また、BPOを活用することで、自社の業務プロセスを整理しやすくなるという副次的な効果も期待できます。
業務のアウトソースを進めるには業務フローを明確にする必要があるため、曖昧だった業務範囲が見える化されることで、改善点の発見にも。
人材不足や働き方改革が求められる今、一部の業務を外注するという選択肢が総務業務の効率化における第一歩といえるでしょう。
業務フローを見える化して無駄を削減する
総務の業務は、日々の対応で仕事が立て込んでしまいがちです。
そのため、どの業務にどれだけの時間やリソースがかかっているかを把握しきれていないことも少なくありません。
そこで重要になるのが、「業務フローの見える化」です。
見える化のポイントは以下のような点が挙げられます。
- 各業務の工程を洗い出す
- 担当者、作業時間、使用ツールを整理する
- 重複作業や承認フローの停滞をチェックする
- 「なくても問題ない作業」や「誰がやってもよい作業」を明確化
こうした工程を図や表で整理することで、ボトルネックや非効率な手順が可視化され、改善のきっかけがつかみやすくなります。
たとえば、稟議書の承認プロセスで「印刷→手渡し→押印→再提出」といった流れがあれば、「そもそもこの紙の工程は必要なのか、電子申請で代替できないか、といった視点で改善を検討できます。
また、業務全体を見える化することで、誰がどの業務を抱えているかの偏りも明確になります。
属人化の予防や人材配置の最適化にもつながり、長期的には総務全体の業務バランスと働きやすさの改善にも貢献します。
マニュアル共有で属人化を防ぐ
総務部門では、長年同じ人が同じ業務を続けていることで、業務のやり方が暗黙知化しやすく、引き継ぎが困難になるという業務の属人化という課題が生じがちです。
この属人化を解消するためには、業務マニュアルの作成と共有が有効です。
マニュアル共有のメリットは以下が挙げられます。
- 業務の標準化が進み、誰でも対応可能に
- 急な欠勤や異動にも柔軟に対応
- 新人教育の効率化につながる
- 問い合わせ対応など、繰り返し業務の負担が軽減
マニュアルは、文書だけでなく図解や動画を使うことで、理解しやすくなります。
また、マニュアルの設置場所も重要です。
クラウド共有や社内Wikiなど、誰でもすぐアクセスできる環境を整えておきましょう。
さらに、マニュアルは「作ったら終わり」ではなく、定期的に更新し続けることが必要です。
業務フローの変更や新しいツールの導入にあわせて内容を見直すことで、常に現場で役立つ情報源として活用できます。
ペーパーレス化で書類制作コストを削減する
紙の書類に依存した業務は、時間もコストもかかりがちです。
印刷、回覧、押印、保管といった工程があることで、ムダな作業時間と印刷・保管コストが日々発生しています。
そこで、業務のペーパーレス化が大きな効率化ポイントとなります。
ペーパーレス化の主な効果は以下です。
- 印刷・郵送コストの削減
- 書類の検索性や保管性の向上
- 在宅勤務など働き方の柔軟化にも対応可能
- 紛失リスクやセキュリティリスクの軽減
ペーパーレス化の第一歩は、社内で使っている書類の棚卸しから始めます。
どの書類が紙でなければならないのか、逆に電子化できる書類は何かを整理し、スモールスタートで導入するのがおすすめです。
2022年の電子帳簿保存法の改正により、契約書や領収書、見積書なども電子データでの保存が認められるようになりました。
法的にも後押しされている今こそ、総務部門からペーパーレス化を進めていくことをおすすめします。
契約書は電子化して手間を短縮する
契約書を紙で管理している企業は、印刷・押印・郵送・保管という複数のステップに時間を取られてしまうケースが少なくありません。
こうした手間を解消するためには、契約書の電子化(電子契約の導入)が効果的です。
以下は電子契約のメリットです。
- 押印や郵送の手間が不要
- 契約締結までのスピードが大幅に短縮
- 印紙代が不要になりコスト削減に
- 検索性・保管性も向上し、過去の契約もすぐ確認できる
電子契約サービスを利用すれば、取引先との契約もオンラインで完結可能です。
セキュリティや改ざん対策も十分整備されているため、法的にも安心して導入できます。
また、契約フローを電子化することで、誰がいつ承認したかの履歴も自動で残るため、後からの確認も容易になります。
ペーパーレス化の一環としても、導入効果の大きい施策です。
クラウド勤怠で打刻集計を自動化する
勤怠管理をExcelや紙で行っている企業では、打刻漏れの確認やデータ転記に大きな工数がかかっています。
そこで注目されているのが、クラウド型の勤怠管理システムです。
クラウド勤怠の導入でできることは以下があります。
- 出退勤データの自動収集
- 未打刻の従業員へ自動リマインド
- 各種申請・承認のオンライン化
- 月次集計や給与連携の完全自動化
特に多いのが、出勤簿とタイムカード、休暇申請などがバラバラに管理されている非効率な運用。
クラウド勤怠を導入すれば、それらの情報を一元管理でき、手入力やチェック作業を削減できます。
また、打刻忘れや承認漏れといったミスも、システムが自動でアラートを出してくれるため、担当者の心理的・時間的な負担が大幅に軽減されます。
RPAを導入して定型業務を自動化する
RPA(Robotic Process Automation)は、パソコン上の繰り返し作業をソフトウェアロボットに代行させる仕組みです。
総務部門では、日常的な定型業務の自動化に非常に適しています。
総務業務でよく使われるRPA例は以下があります。
- 勤怠データの集計・チェック
- 請求書や申請書の情報入力
- 社員情報の更新作業
- 書類作成・帳票出力の自動実行
RPAを導入することで、作業時間を大幅に短縮できるだけでなく、ヒューマンエラーの防止や業務品質の向上も期待できます。
特に、「毎月決まったフォーマットでデータを処理する」といった作業が多い総務部門では、小さな業務の自動化からスタートすることで効果を実感しやすいのも特徴です。
よくある質問をまとめて総務問い合わせを減らす
勤怠の申請の方法や備品の発注など、社内で運用しているシステムについての問い合わせ先は、総務となる場合が多く、こうした社内からの問い合わせ対応に時間を取られてしまうことは、総務によくある悩みです。
このようなケースでは、よくある質問(FAQ)の整備やチャットボットの導入が有効です。
お問い合わせ対応を効率化する方法は以下の方法があります。
- 社内FAQを作成し、社員自身で調べられる体制を整備
- チャットボットを導入し、定型的な質問に自動応答
- 問い合わせ履歴を蓄積し、対応漏れや二重対応を防止
- 回答テンプレートを用意し、対応時間を短縮
社内のナレッジが整理されることで、問い合わせに毎回手間をかける必要がなくなり、担当者はコア業務に集中しやすくなります。
また、自己解決の文化が根づけば、社内全体の業務効率も底上げされるでしょう。
電話・郵便は窓口代行やBPOに委託する
代表電話や郵便物の管理は、多くの時間を奪うノンコア業務の一つです。
こうした業務は、電話代行サービスやメール室業務のBPOを活用することで、大幅な効率化が可能です。
委託で得られるメリットは以下です。
- 代表電話の応答漏れを防止
- 電話対応の品質とスピードが向上
- 郵便の受け取り・部署配布などを一括管理
- 業務時間外や在宅勤務時も柔軟に対応
特にテレワークの浸透により、代表電話に出るためだけに出社するといった非効率が問題視されています。
外部委託することで、そうした物理的な制約も解消でき、働き方改革の推進にもつながります。
郵便についても、外部委託で自動仕分けや配布管理まで行えるため、現場の手間をゼロに近づけることが可能です。
生成AIを使って総務業務を効率化する方法
近年、ChatGPTなどの生成AIが急速に進化し、業務に活用する企業も増えてきました。
総務部門でも、「定型的な問い合わせ対応」や「文書作成の効率化」など、人手で行っていた業務の一部をAIに任せることで、時間と労力を削減する取り組みが進んでいます。
ここでは、総務部門で実際に活用できる生成AIの使い方を下記の3つご紹介します。
- 問い合わせ履歴をAIでよくある質問にまとめる
- 議事録はAIで文字起こし・要約する
- メール・連絡はAIに下書きさせる
以下でそれぞれの活用方法について、詳しく解説します。
問い合わせ履歴をAIでよくある質問にまとめる
総務部門には、勤怠や備品、制度に関する質問が日々寄せられます。
中でも多いのが、「何度も同じような問い合わせに対応しなければならない」という悩みです。
こうした課題を解決する手段が、「社内FAQの整備とAIの活用」です。
生成AIを使えば、以下のような作業を自動で行うことができます。
- 過去の問い合わせ履歴からよくある質問を自動で抽出
- Q&A形式で質問文と回答文を自動生成
- 作成されたFAQをわかりやすい文章に整形
AIを使うと、問い合わせデータを読み込ませるだけで、質問とその回答をセットで提案してくれます。
担当者が行うのは、その内容をチェックして修正するだけなので、ゼロからFAQを作るよりも圧倒的に効率的です。
また、すでにある社内FAQの文章がわかりづらい場合も、AIに改善を依頼することで読みやすく、自己解決しやすい表現にリライトしてくれます。
これにより、総務への問い合わせ件数そのものが減り、コア業務に集中できる時間を増やすことができます。
議事録はAIで文字起こし・要約する
会議の議事録作成は、多くの総務担当者が「時間がかかる」「書き起こすのが大変」と感じる業務のひとつです。
この議事録も、生成AIで効率化できます。
生成AIを用いて議事録作成を効率化する方法は以下の通りです。
- 会議音声の文字起こしツールと組み合わせて利用
- 議事録の要約(長文を短く自然な文章に)
会議内容の決定事項やタスクをリスト化 - 口語表現を文語体に自動変換
たとえば、ZoomやTeamsなどの会議で録音・文字起こしをした後、そのデータをAIに入力するだけで、
「決定事項を箇条書きにしてください」「要点を要約してください」などの依頼が可能です。
これにより、議事録作成にかかる手間を大幅に削減できます。
た、議事録を他部署に共有する際も、整った文書に変換しておくことで、社内情報の伝達スピードが向上します。
メール・連絡はAIに下書きさせる
日々の社内外とのやり取りで、意外と時間を奪われているのがメール文の作成です。
特に、案内文や返信文などの定型的なメールは、AIに下書きを任せることで効率化が図れます。
メール作成でAIを活用するメリットは以下が挙げられます。
- 文面のたたき台をすばやく用意
- 自分では使わない言い回しや表現を提案してくれる
- 書き出しや結びなど、ビジネスメールの基本構成を自動補完
- 誤字脱字や冗長表現を自動でチェック・修正
特にメールが苦手な人にとっては、AIの提案をもとに文面を整えるだけでよいため、心理的な負担も軽減されます。
一方、メールに慣れている人にとっても、自分では使わない言い回しに触れることで表現の幅が広がるというメリットがあります。
もちろん、AIが作成した文章はあくまで下書きとして使い、最終的には人の手で確認・調整をすることが大切です。
ただし、「最初の一文が思いつかない」「パターンを考えるのが面倒」といった悩みを解消するには十分なアシスタントになります。
総務の効率化に活用できるサービス・システム
総務部門の業務を効率化するには、「人の手で行っていた作業を減らすこと」と「属人化を防ぐ仕組みを整えること」が鍵になります。
そのために役立つのが、クラウド型のSaaS(Software as a Service)や外部委託サービス(BPO)です。
ここでは、総務が導入を検討すべき以下の3つのサービスカテゴリについて解説します。
- 勤怠や給与など労務系のSaaS
- 申請フロー・契約管理系のSaaS
- 繁忙期に外注できるBPOサービス
下記で具体的に解説します。
勤怠や給与など労務系のSaaS
勤怠管理や給与計算、社会保険手続きなどの労務業務は、数値の正確性が求められ、かつ煩雑な作業が多い業務です。
こうした業務は、クラウド型の労務管理システムを導入することで大幅に効率化できます。
主な労務系SaaSの機能と導入するメリットは以下です。
- スマホからの勤怠打刻や休暇申請
- 勤怠データの自動集計・給与計算
- 社会保険・雇用保険手続きのオンライン化
- 労働時間のリアルタイム把握と残業アラート
従来のExcelや紙を使った管理では、手入力・転記の手間やミスが発生しやすく、対応漏れや差し戻しも起こりがちです。
SaaSを導入すれば、従業員はWebフォームに回答するだけで書類作成が完了し、差し戻しや進捗確認もオンラインでスムーズに行えます。
さらに、法改正への自動対応機能があるサービスを選べば、法令遵守の観点でも安心です。
申請フロー・契約管理系のSaaS
稟議書、経費精算、出張申請などの社内申請は、印刷・押印・郵送などのアナログ作業が残りやすい分野です。
こうした業務も、クラウド型ワークフローシステムを活用することで効率化できます。
ワークフローSaaSでできることは以下があります。
- 申請書のテンプレート作成・オンライン申請
- 承認フローの自動ルーティング・通知
- 契約書のバージョン管理や検索
- 履歴の保存・ログ管理で監査にも対応
特に契約管理では、紙の契約書が探しづらい・管理が属人化しているといった課題をよく聞きます。
契約書の電子化とSaaSでの一元管理により、「誰と・いつ・どんな条件で契約したか」をすぐに把握できる体制が整います。
また、外部システムとの連携(会計、CRMなど)も可能なサービスを選ぶことで、他部門とのデータ連携もスムーズになります。
繁忙期に外注できるBPOサービス
総務業務には、毎月の決まった業務や突発的な対応が多く、時期によって負荷が大きく変動する特徴があります。
そのため、繁忙期だけ外注できるBPO(Business Process Outsourcing)サービスの活用が有効です。
BPOで依頼できる総務業務の例は以下です。
- 入社準備や人事関連の手配(PC・名刺・セキュリティカードなど)
- 備品管理、会議室の運用管理
- 郵便物の受け取り・社内配布
- 電話・メール対応、来客対応や文書管理
こうした業務は、外注することで総務部門の工数を大幅に削減でき、コア業務に集中するための時間を作れます。
また、BPOサービスには業務の標準化・見える化を促進する効果もあります。
外部に依頼するためには業務フローを明確にする必要があるため、結果的に業務の属人化も解消されていきます。
加えて、繁閑に応じた柔軟な依頼が可能な点も魅力です。
固定費をかけずに変動費で人員調整できるため、コストコントロールにも貢献します。
総務の効率化を成功させるポイント
総務の業務効率化は、単にツールや外注サービスを導入するだけでは成功しません。
本質的な改善を実現するためには、導入前の準備・体制づくり・社内理解の醸成が欠かせません。
ここでは、総務業務を効率化するうえで押さえておきたい成功に必要な以下の3つのポイントをご紹介します。
- まず現状業務のボトルネックや課題を可視化する
- 時期により業務量に差があるならBPOで解消
- 業務効率化の担当者を決めておく
まず現状業務のボトルネックや課題を可視化する
効率化を進める際に最初に行うべきことは、「今、何に時間がかかっているのか」を明らかにすることです。
感覚や印象だけで「ここがムダそう」と判断してしまうと、見当違いの改善になってしまうリスクもあります。
以下は可視化で把握すべきポイントです。
- 業務ごとの作業工程と工数
- 業務ごとの頻度・発生タイミング
- 担当者別の業務量と負荷
- 業務の属人化状況(担当者が固定化しているか)
こうした情報をリストやフロー図にまとめ、ボトルネックを特定することで、「どの業務に手間がかかっているか」「どこをツールや外注で効率化すべきか」が明確になります。
また、業務量の可視化は経営層や他部署に改善の必要性を理解してもらう材料にもなるため、計画的な効率化を進めるためにも重要なステップです。
時期により業務量に差があるならBPOで解消
総務部門の業務は、繁忙期と閑散期の差が大きいという特徴があります。
特に、入社シーズンや年末調整の時期には業務が集中し、一時的に人的リソースが足りなくなるという課題に直面しがちです。
そのようなケースでは、必要なときだけ業務を外部に委託できるBPO(ビジネス・プロセス・アウトソーシング)の活用が有効です。
BPO活用のメリットは以下です。
- 必要な時期だけ柔軟に人手を補える
- 業務を標準化・マニュアル化する機会になる
- 外注先に専門知識やノウハウを任せられる
繁忙期だけでなく、「特定の業務だけ集中的に外注したい」といった部分的な委託も可能なため、自社に合った形での導入がしやすいのも特徴です。
ただし、BPO導入の際は、業務の範囲を明確にしておくことやトラブル時の対応フローを決めておくことも重要です。
これにより、外部業者との連携がスムーズになり、効率化効果を最大化できます。
業務効率化の担当者を決めておく
業務効率化を本格的に進めるには、推進役となる担当者やチームの設定が不可欠です。
誰が主導して改善を行うのかが不明確なままだと、ツール導入後も運用がうまくいかず、成果が出にくくなります。
専任担当者を設けるメリットは以下があります。
- 導入目的の共有・周知がスムーズに
- 各部署との連携・ヒアリングがしやすい
- 導入後の改善PDCAを回す体制がつくれる
業務効率化は一度で終わりではありません。
ツール導入後も、「運用ルールの定着」「使い勝手の見直し」「利用状況の分析」など、継続的な改善活動が求められます。
そのためにも、担当者には総務全体の業務フローを把握している人材を起用することが望ましく、経営層からの支援を受けながら活動できる体制づくりが成功の鍵となります。
どんなケースで総務の効率化に着手すべき?
総務の業務効率化を検討しても、どのタイミングで何から始めればよいのか判断が難しいという声は少なくありません。
しかし、現場で起きている状況を見れば、効率化に着手すべきサインは明確に現れていることが多いです。
ここでは、特に早急な対策が求められる3つのケースをご紹介します。
- 残業が慢性化しているとき
- 時期ごとに業務量に変動があるとき
- 事業拡大にバックオフィスが追いついていないとき
下記で詳しく解説します。
残業が慢性化しているとき
業務量が多く、毎日残業が発生してしまっている。
このような状態は、総務業務に無駄が多く、効率化の余地が大きいサインです。
残業が慢性化する背景には、以下のような要因が考えられます。
- 属人化により特定の人に業務が集中している
- アナログな作業が多く、手作業での確認や転記が発生している
- 電話・メール・来客などの割り込み業務が多く、作業が中断されがち
このような状況が続くと、社員の疲弊やミスの増加、離職リスクにもつながります。
まずは、日々の業務フローを洗い出し、ツール導入やBPOの活用で定型作業を削減するなど、業務そのものを見直す必要があります。
時期ごとに業務量に変動があるとき
総務の業務には、「年末調整」「入社・異動の時期」「決算前後」など、特定の時期に業務が集中する特徴があります。
このような時期的な波に対し、毎回社内だけで対応しようとすると、リソースがひっ迫して他業務に支障をきたす恐れがあります。
この課題への対策として有効なのが、繁忙期だけBPOを活用する仕組みを構築しておくことです。
変動対応のための工夫は以下があります。
- 繁忙期業務をマニュアル化し、外注しやすくしておく
- タスクの優先度を明確にし、必要な部分だけ委託
- 定常業務と繁忙期業務を切り分け、通常期は社内で最適化
これにより、社内メンバーはコア業務に集中し、業務の品質やスピードを落とさずに変動に対応することが可能になります。
事業拡大にバックオフィスが追いついていないとき
企業の成長に伴い、社員数が増えたり、部門・拠点が拡大していくと、総務の負担も自然と増えていきます。
しかし、バックオフィス体制が従来のままでは、業務が回らなくなってしまうというケースも多く見られます。
以下のようなケースがあれば、早急な効率化対策が必要です。
- 社員が増えるたびに、手続き対応や問合せ対応に追われる
- 支店やリモート勤務者が増え、勤怠や申請の管理が複雑化している
- 既存のルールやツールが拡張性に乏しく非効率
このようなフェーズでは、クラウド型の労務管理・申請システムの導入や、電話・郵便などのノンコア業務の外部委託を早めに検討することが重要です。
事業成長の足を引っ張る総務にならないために、バックオフィスも戦略的に強化する姿勢が求められます。
総務の効率化に成功した事例
ここでは、実際に総務業務の効率化に成功した企業の事例を3つご紹介します。
それぞれの企業が直面していた課題と、どのような方法で改善を図ったのかを知り、自社の取り組みの参考やヒントにしましょう。
あらゆる事務作業のクラウド化を実現した事例
株式会社TRICASTでは、すべてのバックオフィス業務をクラウド化することに成功しました。
株式会社TRICASTが抱えていた課題は以下です。
- 少人数体制で、多様な事業を同時に運営
- 経理や勤怠などの手続きに不慣れ
- 業務が属人化しやすく、作業負担が重い
上記の課題を、以下の方法で効率化させました。
- マネーフォワード クラウドで経理・勤怠・給与・契約・請求などを一括管理
- 銀行・クレジットカード連携による会計自動化
- 会計データを税理士とリアルタイム共有し、仕訳確認や相談もスムーズに
その結果、会計処理にかかる時間は月3〜4日程度に短縮され、バックオフィス業務の手間も大幅に軽減。
紙のやりとりが不要になり、コスト削減と業務効率の両立を実現しています。
勤怠管理を自動化した事例
介護・保育・飲食など多岐にわたる事業を展開する株式会社ソーシエでは、複雑な勤務形態に対応できる勤怠管理の仕組みが求められていました。
株式会社ソーシエでは以下の課題を抱えていました。
- 勤怠管理が手作業中心で集計ミスや入力負担が大きい
- 複数拠点・事業部にわたる勤務形態の違いにシステムが対応しきれない
- 給与前払い制度に対応するための毎日締め処理が非効率
上記課題を以下の方法で効率化を実現しています。
- KING OF TIMEでバラバラな勤務形態・ヘルプ勤務を自動集計
- 勤怠データを前払い給与サービス「CRIA」と連携し、毎日締めの習慣化
- シフト管理ツールと連携し、介護・保育など専門業種にも対応
その結果、グループ全体で年間約400時間の作業時間削減を達成。
勤怠処理の効率化が、人材採用・定着率の改善にも貢献し、戦略的な人財マネジメントにもつながっています。
契約管理ツールで自動化を実現した事例
名刺管理サービスで知られるSansan株式会社では、増加する契約業務の煩雑化が大きな課題でした。
Sansan株式会社が抱えていた主な課題は以下です。
- 年間数百件にも及ぶ契約処理を紙・PDF中心で管理
- 入力ミスや書類の差し戻しで営業機会を逃すリスク
- 契約書の印刷・押印・郵送に時間とコストがかかる
Sansan株式会社は以下の方法で効率化を実現しています。
- DocuSignで契約書の作成〜署名〜管理までを電子化
- Salesforceとの連携により営業フローと契約フローを一体化
- ステータス管理で契約進捗を可視化し、適切なタイミングで顧客フォロー
契約管理ツール導入後は営業サイクルが約3週間から2〜3営業日に短縮。
また、電子契約への社内外の抵抗もなく、スムーズな受注につながるフローが構築されました。
総務・専門事務をまるっと外注できる「ちょいサポ」
300件以上の事業推進実績を誇るフリーランスタックスが運営する「ちょいサポ」は、月額2.5万円から利用できる、マーケティング・人事・営業・クリエイティブ・庶務業務といった幅広いバックオフィス業務のサポートサービスです。
「総務の業務を効率化したい」「専門事務を依頼したい」といったニーズに対応し、月10時間・1ヶ月から柔軟にサポートが可能です。
「ちょいサポ」のサービス開始以来、「業務負担を減らしたい」「効率化が進まない」といった課題を抱える多くの企業様からご相談やご依頼をいただいています。
「ちょいサポ」では、こうしたお悩みに対して、貴社の要件にフルカスタマイズしたサポートを提供。
マーケティング部門の支援から、人事部門、クリエイティブ業務、庶務業務といった幅広い業務を、300社以上の事業推進を支援してきた経験豊富なプロが対応します。
総務の業務負担軽減や効率化をご検討の方は、「ちょいサポ」へお気軽にご相談ください。